特定入所者介護サービス費(補足給付)
正式名称:特定入所者介護サービス費
所得が低い方が介護保険施設やショートステイを利用する際に、食費と居住費の負担を軽減する制度です。「補足給付」とも呼ばれ、施設利用の経済的ハードルを大きく下げます。
対象者
- ●住民税非課税世帯の方
- ●預貯金等が一定額以下の方(単身で1,000万円以下など、段階により異なる)
- ●配偶者が住民税非課税であること(世帯が別でも対象)
支給内容
所得段階に応じて食費・居住費の負担限度額が設定され、基準費用額との差額が介護保険から給付されます。例えば第2段階では食費が1日390円、多床室の居住費が1日370円に軽減されます。
申請方法
市区町村の介護保険窓口で「介護保険負担限度額認定申請書」を提出します。預貯金通帳の写し等が必要です。認定されると「負担限度額認定証」が交付され、施設に提示することで軽減が適用されます。
詳しい解説と計算例
特定入所者介護サービス費(補足給付)は、低所得の方が介護保険施設に入所したりショートステイを利用する際に、食費と居住費の負担を大幅に軽減する制度です。
介護保険施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院等)の食費と居住費は、原則として全額自己負担です。食費は1日約1,445円(月約43,350円)、ユニット型個室の居住費は1日約2,006円(月約60,180円)が基準費用額として設定されています。これらの費用だけで月10万円を超え、介護サービスの自己負担と合わせると相当な金額になります。
補足給付では、所得と資産に応じて4つの段階に分けて負担限度額が設定されます。
第1段階(生活保護受給者・老齢福祉年金受給者で住民税非課税世帯) 食費:1日300円(月約9,000円)、多床室:0円、従来型個室(特養):1日320円 預貯金要件:単身1,000万円以下、夫婦2,000万円以下
第2段階(住民税非課税世帯で年金収入等80万円以下) 食費:1日390円(月約11,700円)、多床室:1日370円、従来型個室(特養):1日420円 預貯金要件:単身650万円以下、夫婦1,650万円以下
第3段階-1(住民税非課税世帯で年金収入等80万円超120万円以下) 食費:1日650円(月約19,500円)、多床室:1日370円、従来型個室(特養):1日820円 預貯金要件:単身550万円以下、夫婦1,550万円以下
第3段階-2(住民税非課税世帯で年金収入等120万円超) 食費:1日1,360円(月約40,800円)、多床室:1日370円、従来型個室(特養):1日820円 預貯金要件:単身500万円以下、夫婦1,500万円以下
具体的な計算例
年金収入70万円の親(第2段階)が特養(多床室)に入所する場合
補足給付なし:食費43,350円 + 居住費25,650円(多床室)= 月69,000円 補足給付あり:食費11,700円 + 居住費11,100円 = 月22,800円 差額:月46,200円の軽減(年間約55万円)
これに介護サービス自己負担(1割・上限15,000円)を加えても、月37,800円で特養に入所できる計算になります。
2021年8月の制度改正で、預貯金の要件が厳格化されました。以前は一律で預貯金1,000万円以下(夫婦2,000万円以下)でしたが、現在は段階ごとに異なる基準が設けられています。また、非課税年金(遺族年金・障害年金)も収入として算定されるようになりました。
申請に必要な書類は、介護保険負担限度額認定申請書、本人および配偶者の預貯金通帳の写し(直近2か月分)、有価証券などの金融資産がある場合はその証明書です。認定の有効期間は8月1日から翌年7月31日までで、毎年更新が必要です。
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無料でシミュレーションするよくある質問
補足給付を受けるには毎年申請が必要ですか?
はい、認定の有効期間は8月1日から翌年7月31日までのため、毎年更新申請が必要です。市区町村から更新のお知らせが届くことが多いですが、届かない場合は自分から手続きしてください。
預貯金にはどのような資産が含まれますか?
預貯金(普通預金・定期預金等)、有価証券(株式・国債等)、投資信託が含まれます。生命保険や自動車、不動産は含まれません。タンス預金も自己申告が求められます。
ショートステイでも補足給付は使えますか?
はい、介護保険施設のショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)も補足給付の対象です。負担限度額認定証を施設に提示してください。
世帯分離をすれば補足給付の対象になりますか?
住民票上の世帯を分離して住民税非課税世帯になれば、補足給付の対象になる可能性があります。ただし、配偶者が住民税課税の場合は世帯が別でも対象外です。また、世帯分離により他の制度(国民健康保険料等)に影響が出る可能性があるため、総合的に判断してください。
有料老人ホームやサ高住でも補足給付は使えますか?
いいえ、補足給付の対象は介護保険施設(特養・老健・介護医療院)とショートステイのみです。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は対象外です。