医療費控除(介護費用分)
正式名称:医療費控除
介護サービスの自己負担額の一部は、確定申告で医療費控除の対象になります。所得税と住民税が軽減されるため、介護費用の実質的な負担が下がります。対象となるサービスと申告方法を解説します。
対象者
- ●1年間の医療費・介護費の自己負担合計が10万円(所得200万円未満は所得の5%)を超える方
- ●確定申告を行う方(年末調整では適用不可)
- ●本人または生計を一にする親族の医療費・介護費が対象
支給内容
医療費控除額 =(医療費+対象介護費 − 保険金等で補填された金額)− 10万円(所得200万円未満は所得の5%)。控除額に所得税率を掛けた金額が還付されます。上限は200万円。
申請方法
確定申告書に医療費控除の明細書を添付して税務署に提出します。e-Taxでの電子申告も可能です。領収書は5年間の保存義務があります。申告期限は翌年3月15日(還付申告は5年間)。
詳しい解説と計算例
介護サービスの自己負担額の一部は、確定申告で医療費控除として所得から差し引くことができます。医療費控除を活用すると、所得税と住民税が軽減され、介護費用の実質的な負担を下げられます。
医療費控除の対象となる介護サービスは大きく3つに分類されます。
全額が対象となるサービス
訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所リハビリテーション(デイケア)、短期入所療養介護(医療型ショートステイ)、介護老人保健施設・介護医療院の施設サービス
自己負担額の1/2が対象となるサービス
訪問介護(生活援助中心型を除く)、訪問入浴介護、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(福祉型ショートステイ)、特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム) ※上記の「全額対象サービス」と併せて利用している場合に限る
対象外のサービス
福祉用具貸与、福祉用具購入費、住宅改修費、認知症対応型共同生活介護(医療系サービスと併用なしの場合)
おむつ代も医師が必要と認めた場合は医療費控除の対象です。初回は「おむつ使用証明書」を医師に発行してもらう必要がありますが、2年目以降は市区町村が発行する「確認書」で代用できる場合があります。
具体的な計算例
年収500万円(所得税率20%)の子が、親の介護費用を負担しているケースを考えます。
年間の対象介護費用:訪問看護12万円 + デイケア18万円 + 医療費15万円 = 合計45万円 医療費控除額:45万円 − 10万円 = 35万円 所得税の還付額:35万円 × 20% = 7万円 住民税の軽減額:35万円 × 10% = 3.5万円 合計軽減額:10.5万円
もう一つのケース(年収300万円、所得税率10%の場合) 年間の対象介護費用:デイサービス(1/2対象)24万円の半額12万円 + 訪問看護6万円 + 医療費8万円 = 合計26万円 医療費控除額:26万円 − 10万円 = 16万円 所得税の還付額:16万円 × 10% = 1.6万円 住民税の軽減額:16万円 × 10% = 1.6万円 合計軽減額:3.2万円
重要なポイントとして、「生計を一にする親族」の医療費・介護費も合算して申請できます。親と別居していても、仕送り等で生活費を支援している場合は「生計を一にする」と認められます。兄弟のうち最も所得税率が高い人がまとめて申請するのが最も節税効果が大きくなります。
また、医療費控除にはセルフメディケーション税制(特定一般用医薬品購入費の特例)との選択適用があります。どちらか有利な方を選べますが、介護費用が大きい場合は通常の医療費控除の方が有利になることがほとんどです。
申告に必要な書類は、医療費控除の明細書(税務署の様式)と、介護サービス事業者が発行する領収書(医療費控除対象額が記載されているもの)です。領収書の提出は不要ですが、5年間の保管義務があります。
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無料でシミュレーションするよくある質問
デイサービスの費用は医療費控除の対象になりますか?
デイサービス(通所介護)の自己負担額は、訪問看護や通所リハビリなどの医療系サービスと併せて利用している場合に限り、自己負担額の1/2が医療費控除の対象になります。デイサービスのみの利用では対象外です。
介護施設の食費や居住費は医療費控除の対象になりますか?
介護老人保健施設と介護医療院の食費・居住費は医療費控除の対象です。特別養護老人ホームの場合は、介護サービス費・食費・居住費の自己負担額の1/2が対象になります。有料老人ホームの費用は対象外です。
おむつ代は医療費控除の対象になりますか?
はい、おむつ代は医師が発行する「おむつ使用証明書」があれば医療費控除の対象になります。2年目以降は、要介護認定を受けている場合、市区町村が発行する確認書で代用できることがあります。
別居の親の介護費用でも医療費控除を受けられますか?
はい、「生計を一にする親族」の介護費用であれば対象になります。別居でも仕送り等で生活費を支援していれば「生計を一にする」と認められます。親の介護費用を兄弟で分担している場合、実際に支払った人がそれぞれ申告できます。
医療費控除と高額介護サービス費は併用できますか?
はい、併用できます。ただし、高額介護サービス費で払い戻された金額は、医療費控除の計算で差し引く必要があります。つまり、実際の自己負担額(払い戻し後の金額)が医療費控除の対象となります。