介護保険制度と自己負担額の基礎知識
介護保険の仕組み、要介護認定の流れ、自己負担割合(1〜3割)、高額介護サービス費の上限額を解説します。
介護保険制度の概要
介護保険制度は、2000年4月に施行された社会保険制度です。40歳以上の国民が保険料を支払い、要介護状態になった際に介護サービスを受けることができます。
被保険者は2つの区分に分かれます。第1号被保険者は65歳以上の方で、原因を問わず要介護認定を受ければ介護サービスを利用できます。第2号被保険者は40〜64歳の方で、特定疾病(末期がん、関節リウマチ、初老期における認知症など16疾病)が原因で要介護状態になった場合に利用できます。
介護保険の財源は、公費(税金)50%と保険料50%で構成されています。利用者は介護サービスを受ける際に、費用の1割〜3割を自己負担します。残りの7割〜9割が介護保険から給付される仕組みです。
要介護認定の流れと要介護度
介護サービスを利用するには、まず市区町村に要介護認定の申請を行う必要があります。
申請後、認定調査員が自宅を訪問し、心身の状態について約74項目の聞き取り調査を行います。この調査結果と主治医意見書をもとに、コンピューターによる一次判定、そして介護認定審査会による二次判定が行われ、要介護度が決定します。
要介護度は7段階に分かれています。要支援1・2は日常生活に一部支援が必要な状態、要介護1〜5は日常生活に介護が必要な状態です。要介護5が最も重度で、寝たきりや重度の認知症などが該当します。
要介護度によって利用できるサービスの量(区分支給限度基準額)が決まっており、要支援1の月額約5万円から要介護5の月額約36万円まで幅があります。この限度額を超えてサービスを利用した場合は、超過分が全額自己負担となります。
自己負担割合の決まり方
介護サービスの自己負担割合は、本人の所得に応じて1割・2割・3割のいずれかが適用されます。
1割負担の対象は、本人の合計所得金額が160万円未満の方、または本人の合計所得金額が160万円以上でも世帯の65歳以上の方の年金収入とその他の合計所得金額の合計が単身で280万円未満(2人以上世帯で346万円未満)の方です。
2割負担の対象は、本人の合計所得金額が160万円以上220万円未満で、単身で年金収入等が280万円以上(2人以上世帯で346万円以上)の方です。
3割負担の対象は、本人の合計所得金額が220万円以上で、単身で年金収入等が340万円以上(2人以上世帯で463万円以上)の方です。
65歳以上の約9割の方が1割負担に該当しています。親の介護費用を考える際は、まず親がどの負担割合に該当するかを確認することが重要です。
高額介護サービス費の上限制度
月々の自己負担額が一定額を超えた場合、超過分が「高額介護サービス費」として払い戻される制度があります。これは医療の高額療養費制度と似た仕組みです。
自己負担の上限額は所得段階に応じて設定されています。生活保護受給者は月額15,000円、住民税非課税世帯は月額24,600円(個人では15,000円)、一般的な所得の方は月額44,400円、現役並み所得者は月額44,400〜140,100円です。
例えば、要介護3の親が月額27万円分の介護サービスを利用し、1割負担で2万7,000円を支払った場合、一般的な所得であれば上限は44,400円なので全額が自己負担となります。しかし、住民税非課税世帯であれば24,600円を超えた2,400円が払い戻されます。
また、医療費と介護費を合算して上限を適用する「高額医療・高額介護合算療養費制度」もあります。年間の医療費と介護費の合計が一定額を超えた場合に利用できます。
介護保険でカバーされない費用
介護保険制度でカバーされるのは介護サービスの費用のみです。以下の費用は介護保険の対象外であり、全額自己負担となります。
施設入所の場合の居住費(家賃相当額)と食費は自己負担です。特別養護老人ホームの場合、居住費は月額約2.5〜6万円、食費は月額約4万円程度です。ただし、低所得者には「特定入所者介護サービス費(補足給付)」として減額される制度があります。
日用品費(おむつ代、シーツ代等)、理美容代、個人的な嗜好品なども自己負担です。また、介護保険の支給限度額を超えて利用したサービスの費用も全額自己負担となります。
兄弟間で介護費用の分担を話し合う際は、介護保険の自己負担額だけでなく、これらの保険外費用も含めた「実際の月額負担」を正確に把握することが重要です。本シミュレーターでは、月額介護費用として保険外費用も含めた総額を入力していただく設計になっています。