費用・お金2026年3月5日
認知症の親の介護費用はいくらかかる?進行度別の費用目安を解説
認知症の進行度別にかかる介護費用の目安を解説。グループホームvs在宅介護の費用比較、利用できる制度も紹介します。
## 認知症介護にかかる費用の実態
厚生労働省の推計によると、2025年時点で認知症の高齢者は約700万人に達すると見込まれています。65歳以上の約5人に1人が認知症という計算です。認知症の介護は、身体介護に比べて**見守りの時間が長い**という特徴があり、その分費用も高くなる傾向があります。
家計経済研究所の調査では、認知症の方の介護にかかる費用は月平均で**在宅の場合約6.8万円、施設の場合約12.8万円**とされています。ただし、認知症の進行度や利用するサービスにより大きく異なります。
## 認知症の進行度と介護費用の関係
### 軽度認知障害(MCI)~初期
**要介護度の目安**: 要支援1〜要介護1
**月額費用の目安**: 1万〜5万円
初期の段階では、物忘れが目立つものの日常生活は概ね自立しています。この段階で利用する主なサービスは以下のとおりです。
- **デイサービス(通所介護)**: 週1〜2回の利用で月額5,000円〜1.5万円
- **訪問介護**: 週1〜2回の生活援助で月額3,000円〜8,000円
- **認知症対応型デイサービス**: 少人数制で月額8,000円〜2万円
この段階では、介護保険の自己負担額は比較的低く抑えられます。ただし、**早期発見・早期対応**が費用を長期的に抑えるカギとなります。
### 中等度(日常生活に支障が出始める段階)
**要介護度の目安**: 要介護2〜要介護3
**月額費用の目安**: 5万〜15万円
中等度になると、日付や場所の見当識障害が進み、一人での外出が困難になります。徘徊や妄想などの行動・心理症状(BPSD)が出始めることもあります。
主なサービスと費用は以下のとおりです。
- **デイサービス**: 週3〜5回の利用で月額1.5万〜3万円
- **訪問介護**: 週3〜5回の利用で月額1万〜2.5万円
- **ショートステイ**: 月2〜4日の利用で月額1万〜3万円
- **福祉用具レンタル**: GPS端末、センサーマットなどで月額1,000円〜5,000円
- **認知症治療薬**: アリセプト等の薬代で月額3,000円〜1.5万円(医療保険適用後)
さらに、**自宅の改修費用**が発生することがあります。徘徊防止のための玄関センサー設置、段差解消、手すりの取り付けなどで5万〜20万円程度(介護保険の住宅改修費で最大18万円の補助あり)。
### 重度(常時見守り・介護が必要な段階)
**要介護度の目安**: 要介護4〜要介護5
**月額費用の目安**: 10万〜30万円以上
重度になると、自分の名前や家族の顔がわからなくなり、排泄・食事・着替えなど日常生活のすべてに介助が必要になります。
在宅介護の場合、介護保険の支給限度額を超えるサービス利用が必要になることも多く、**全額自己負担分**が発生します。
- **要介護5の支給限度額**: 月額約36万2,170円(2024年度、1割負担の場合約3.6万円)
- **限度額超過分**: 全額自己負担で月額3万〜10万円以上
- **夜間の見守り**: 夜間対応型訪問介護やヘルパーの追加で月額2万〜5万円
- **おむつ代等の日用品**: 月額5,000円〜1.5万円
## グループホーム vs 在宅介護の費用比較
### グループホームの費用
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、認知症の方が5〜9人の少人数で共同生活する施設です。
**月額費用の内訳**:
- 介護サービス費(1割負担): 約2.3万〜2.7万円
- 居住費: 約4万〜8万円
- 食費: 約3万〜4.5万円
- 管理費・その他: 約1万〜3万円
- **合計**: 約12万〜20万円
入居一時金は0円〜数百万円と施設により大きく異なります。近年は入居一時金0円の施設も増えています。
**グループホームのメリット**:
- 認知症ケアの専門スタッフが常駐
- 少人数の家庭的な環境で穏やかに過ごせる
- 24時間の見守りにより家族の負担が大幅に軽減
**デメリット**:
- 入居待ちが発生する地域がある
- 要介護度が重くなると退去を求められる場合がある
- 地域密着型サービスのため、住民票のある市区町村の施設しか利用できない
### 在宅介護の費用
在宅介護の費用は、要介護度と利用するサービスの組み合わせにより大きく変動します。
**中等度(要介護3)の場合の月額費用例**:
- 介護サービス費(1割負担): 約2万〜3万円
- 食材費・おむつ代等: 約1万〜2万円
- 通院交通費: 約3,000円〜5,000円
- **合計**: 約3.5万〜6万円
ただし、在宅介護では**家族の「見えないコスト」**を考慮する必要があります。
- 介護のための離職・時短勤務による収入減少
- 介護者自身の健康悪化(介護うつ等)
- 介護者の社会参加の機会損失
### 費用比較のまとめ
| 項目 | グループホーム | 在宅介護(要介護3) |
|------|--------------|-------------------|
| 月額費用 | 12万〜20万円 | 3.5万〜6万円 |
| 家族の負担 | 軽い | 重い |
| 専門的ケア | 充実 | サービス利用時のみ |
| 夜間対応 | あり | 家族または追加サービス |
金額だけを見ると在宅介護が安く見えますが、家族の収入減少や健康への影響を含めると、トータルコストは大きく変わります。
## 認知症介護の費用を軽減する方法
### 1. 高額介護サービス費の申請
月々の介護サービスの自己負担額が一定額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。所得に応じた上限額が設定されており、一般的な所得の方は月額44,400円が上限です。
### 2. 認知症の医療費控除
認知症の治療にかかった医療費は、確定申告で**医療費控除**の対象になります。おむつ代も医師の「おむつ使用証明書」があれば控除対象です。
### 3. 自治体独自の支援制度
多くの自治体が認知症に特化した支援制度を設けています。
- 徘徊高齢者SOSネットワーク
- GPS端末の貸出・補助
- 認知症カフェ(介護者の交流の場)
- 家族介護慰労金
### 4. 成年後見制度の活用
認知症が進行すると、本人が財産管理や契約を行うことが困難になります。成年後見制度を利用することで、財産の適切な管理と本人の利益保護が可能になります。
## まとめ
認知症の介護費用は、進行度に応じて月額1万円から30万円以上まで大きく変動します。早い段階から費用の見通しを立て、利用できる制度を最大限活用することが重要です。
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介護費用シミュレーター 編集部
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