介護費用シミュレーター
制度・法律2026年3月8日

介護休業制度と仕事の両立|知っておくべき法的権利と活用法

育児・介護休業法に基づく介護休業、介護休暇、勤務時間短縮措置を徹底解説。制度の使い方と両立のコツを紹介します。

## 介護と仕事の両立は「制度の活用」がカギ 総務省の「就業構造基本調査(2022年)」によると、介護を理由に離職した人は年間約10万人に上ります。いわゆる「介護離職」は、本人の収入減少だけでなく、将来の年金額にも影響する深刻な問題です。 しかし、日本には介護と仕事を両立するための法制度が整備されています。問題は、その制度を知らない、または活用方法がわからないという方が多いことです。本記事では、**育児・介護休業法**に基づく各種制度を詳しく解説します。 ## 介護休業制度の基本 ### 介護休業とは 介護休業は、**要介護状態にある対象家族1人につき、通算93日まで、3回を上限として分割取得できる**制度です。育児・介護休業法第11条に基づき、労働者の権利として認められています。 ここでいう「要介護状態」とは、負傷・疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態を指します。介護保険の要介護認定を受けている必要はありません。 ### 対象となる家族の範囲 介護休業の対象家族は以下のとおりです。 - 配偶者(事実婚を含む) - 父母(養父母を含む) - 子(養子を含む) - 配偶者の父母 - 祖父母 - 兄弟姉妹 - 孫 2017年の法改正により、祖父母・兄弟姉妹・孫については同居・扶養の要件が撤廃されました。 ### 介護休業の取得手続き 介護休業を取得するには、**休業開始日の2週間前までに**書面で事業主に申し出る必要があります。申出に際して、対象家族の要介護状態を証明する医師の診断書などの提出を求められることがあります。 事業主は、原則として介護休業の申出を拒否できません。ただし、労使協定により以下の労働者は対象外とすることが可能です。 - 入社1年未満の労働者 - 申出の日から93日以内に雇用関係が終了する労働者 - 週の所定労働日数が2日以下の労働者 ## 介護休暇制度─ 短期の休みに活用 ### 介護休暇の概要 介護休暇は、**対象家族1人につき年5日(2人以上の場合は年10日)**取得できる制度です。2021年の法改正により、**時間単位での取得**が可能になりました。 介護休暇は、通院の付き添いやケアマネジャーとの面談、介護サービスの手続きなど、比較的短時間で済む用事に活用できます。 ### 介護休業との使い分け | 項目 | 介護休業 | 介護休暇 | |------|----------|----------| | 期間 | 通算93日(3回まで分割可) | 年5日(時間単位可) | | 給付金 | 介護休業給付金あり | なし(有給か無給かは会社規定による) | | 目的 | 介護体制の構築 | 日常的な介護ニーズへの対応 | | 申請期限 | 2週間前まで | 当日でも可 | 介護休業は「介護の体制を整えるための期間」として位置づけられています。施設探しや在宅介護の環境整備、ケアプランの作成など、中長期的な準備に使うのが効果的です。 ## 勤務時間短縮等の措置 ### 選択的措置義務 事業主は、介護休業とは別に、**利用開始から3年以上の期間で2回以上**利用できる以下の措置のうち、いずれかを講じる義務があります。 1. **短時間勤務制度**: 1日の所定労働時間を短縮する 2. **フレックスタイム制度**: 始業・終業時刻を柔軟に設定できる 3. **時差出勤制度**: 始業・終業時刻を繰り上げ・繰り下げる 4. **介護サービス費用の助成**: 労働者が利用する介護サービスの費用を助成する ### 所定外労働の制限(残業免除) 要介護状態の対象家族を介護する労働者は、**所定外労働(残業)の免除**を請求できます。この制度に利用回数の制限はなく、介護が必要な間は継続して請求できます。 ### 深夜業の制限 要介護状態の対象家族を介護する労働者は、午後10時から午前5時までの**深夜業の制限**を請求できます。1回の請求につき1ヶ月以上6ヶ月以内の期間で、何度でも請求可能です。 ## 介護休業給付金─ 経済的支援 ### 給付金の概要 雇用保険の被保険者が介護休業を取得した場合、**介護休業給付金**が支給されます。 - **支給額**: 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × **67%** - **支給期間**: 対象家族1人につき通算93日まで - **申請先**: ハローワーク(公共職業安定所) たとえば、月収30万円の方が1ヶ月間の介護休業を取得した場合、約20万円の給付金を受け取れる計算です。 ### 給付金の申請手続き 介護休業給付金の申請は、原則として**事業主を経由して**ハローワークに行います。申請期限は介護休業終了日の翌日から2ヶ月以内です。 必要書類は以下のとおりです。 - 介護休業給付金支給申請書 - 被保険者休業開始時賃金月額証明書 - 賃金台帳、出勤簿等の記載内容を確認できる書類 - 対象家族の氏名・続柄等を確認できる書類 ## 介護離職を防ぐための実践的アドバイス ### 1. 制度を早めに把握する 介護は突然始まることが多いため、親が元気なうちから会社の介護支援制度を確認しておきましょう。就業規則や福利厚生の制度を人事部に問い合わせることをおすすめします。 ### 2. 介護休業は「体制づくり」に使う 93日間の介護休業を「自分で介護する期間」として使い切ってしまうと、その後の選択肢が狭まります。介護休業中に地域包括支援センターへの相談、ケアプランの作成、施設の見学・申し込みなどを済ませ、**持続可能な介護体制**を構築することが重要です。 ### 3. 職場への早めの相談 介護が始まったら、上司や人事部に早めに相談しましょう。介護の状況は変化するため、定期的に状況を共有し、業務の調整を行うことが大切です。 ### 4. テレワークの活用 2023年の法改正により、事業主は介護を行う労働者に対して**テレワーク**を選択肢として提供する努力義務が課されました。在宅勤務が可能な業務であれば、積極的に活用を検討しましょう。 ### 5. 地域包括支援センターの活用 各市区町村に設置されている地域包括支援センターでは、介護に関する無料相談を受け付けています。介護保険の申請手続きやケアマネジャーの紹介など、介護全般のサポートを受けられます。 ## まとめ 介護と仕事の両立は、制度を知り、計画的に活用することで十分に実現可能です。介護休業・介護休暇・勤務時間短縮の各制度を組み合わせることで、仕事を続けながら親の介護に対応できます。 まずは、親の介護にどの程度の費用がかかるかを把握しましょう。当サイトの**介護費用シミュレーター**で、要介護度や利用サービスに応じた月額費用の目安を簡単に確認できます。費用の見通しが立てば、介護休業中の計画も立てやすくなります。

介護費用シミュレーター 編集部

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